大丸の「生理バッジ」から注目が集まっているネット連載漫画「ツキイチ!生理ちゃん」のキャラクター。そのコラボ企画や作品に悲鳴と批判が集まっています。
一方、「生理の辛さが共感できる」「もっと知ってほしい」など女性の生理認知に関する肯定的な発言も増え話題が一気にヒートアップしています。
今回は、そんなどよめきを生んでいる「ツキイチ!生理ちゃん」が嫌われる理由を
- 作者の評判
- 作品の評判
- コラボ企画の評判
の観点から調べてみました!
【「生理ちゃん」嫌い!が増加】きっかけは大丸百貨店内「ミチカケ」ブランドとのコラボ
生理ちゃんが知られるようになった一番のきっかけはやはり大丸百貨店内にできた新ブランド「ミチカケ」とのコラボリリースですね。2019年11月22日のリリースを皮切りに一気に認知が広まりました。
これが「生理ちゃん」というキャラクターです。一度見たら忘れられない強烈な個性を放った見た目ですね。個人的にはもうすこしゆるキャラっぽい方が受け入れやすいだろうな―とは思うのですが、コメディ漫画として描くならこれくらいのインパクトはちょうどいいのかもしれません。
作者の小山健さんも「生理ちゃんはリツイートを狙って書き始めた」とSNSでの拡散を狙ってテーマを決めていたみたいなので、その作戦は良いか悪いかはさておき狙い通りに拡散されていますね。
——「生理ちゃん」は、玄関のドアを開けて入ってきますよね。生理が玄関からくるというのは、新鮮でした。
ウートピ インタビューより
小山:「生理がくる」という言葉を聞いて、最初に思いついたのが、ドアを開けて入ってくるシーンだったんです。なんせ「リツイートされたい」という気持ちから始まった連載なので、面白いと感じたことは何でも取り入れていますね。玄関を開けたり、電車に揺られたり、おまんじゅうを食べたり……。いろいろ、人間らしいことをさせてみました。
なぜ「生理ちゃんが嫌い」?女性の意見も3つに分かれる
正直連載当初は意外と肯定的な意見も見られていました。しかし、大丸でのリリースから一転、毎日批判的なツイートや声を見かけるようになりました。
「生理ちゃんが嫌い」という意見には大きく3種類に分かれていたので紹介していきますね。
生理ちゃんの作者が嫌い(他の取り扱っているテーマが嫌い)
まず、作者である小山健さんのことを嫌いだという声も多数あります。これはネットで連載できる「オモコロ」に出稿している小山健さんの過去作品で取り扱っているテーマが生理ちゃんの扱うテーマとは毛色の違う「男性目線的な性描写」や「女性性を冒涜するようなテーマ」を含むコメディーになっているため、受け取る人にとってはひどく嫌悪感を覚える人もいるようでした。
筆者も個人的にはオモロではありませんでしたのであまり読んでいません泣
どんなテーマなのかはここでは割愛しておきますが、今回コラボしている「ミチカケ」さんとのコンセプトからはかけ離れているようなテーマなのが原因ですね。
「生理ちゃん」作品そのものが嫌い
まず、女性の特有の症状や体をテーマにした作品というものは誰にでも受け入れられることは少なく、どんな内容でも批判的な意見は一定数でてきますね。
特にセンシティブな「生理」現象を取り扱った漫画なので自分の体の現象がネタ化されて笑われているといった捉え方をしている人が多くて驚きました。
こういう話って、同じ話でも女性が伝えていると好感が持たれ、男性が話すと「セクハラ」「侮辱」「無神経」と言われたりします。
筆者が読んでいる限り作者はかなりニュートラルな目線で描いているように見えますが、「男性が描いている」というフィルターを通すと何も思わないわけではないですね・・・
生理ちゃんとコラボして提示している店のコンセプトが嫌い
生理ちゃんだけでなく、生理ちゃんとコラボしちゃった企画担当がどうなんだ、といった声も見られます。
筆者も生理前後にはかなり体調・精神的な変化があり一時は振り回されて周りに当たっていた経験も反省もあり、「生理中だから大目に見て」は少々横暴な気もするし、しかしひどい時には1日布団から出れないことも知っているので「そんな生き物なんだ」ととらえてほしいと思ったことは数え切れません。
「嫌い」の例外もあり?「生理ちゃん」には生理の歴史的側面を見られる回もある
実は、「生理ちゃん」には取材に基づいた、生理にまつわる話もあってこれは筆者も知らない(けど気になってはいた)ヒストリーを生理ちゃんをきっかけに知ることができたのです。
江戸時代の生理事情を描いた「ツキイチ!生理ちゃん」5話
生理ちゃんの5話では江戸時代後期、女性は月のものが来ると「生理小屋」なるも小屋へ閉じこもって過ごしていたそうです。その期間女性は「ケガレ」になるのだとか。今では信じられませんが、これが200年ほど前の常識なのですね。
女性も甘んじてそれを受け入れていた背景があります。
生理ちゃんの1~5話は割とテーマやターゲットが定まっていて女子にも男子にも「へ~そうなんだ~」とか「あーあるある」と共感しやすい内容になっています。
「生理ちゃん」の漫画自体には肯定的な意見も多かったのです。そのため、「映画化」や「コラボ」が実現したのでしょう。
紙ナプキン誕生秘話を漫画にした「ツキイチ!生理ちゃん」9話
もうひとつ、「紙ナプキン」誕生秘話の回もとても印象的でした。
私たちは普段当たり前のように生理用品を使っていますが、その開発や市場拡大には並々ならぬ努力と、周りへの気遣い、戦略の上に成り立っていたことがわかりやすく描かれています。
この話にはリスペクトの意見が多いですね。
生理ちゃんの表面的な部分しか知らないユーザーの意見と、実際に生理ちゃんを読んでいる読者とでは認識に大きな違いがありそうです。
「生理ちゃん」と同じ嫌われ方として、絵本作家「のぶみ」に飛び火
呼んだママが泣けると話題になった絵本「ママがおばけになっちゃった」の作者でもあるのぶみさんですが、「まけずぎらいキティ」歌「あたしおかあさんだから」など 炎上した作品も多く、 この方も男性であることから「のぶみと同じ匂いがして嫌い」といった声も見受けられました。
最後に:「嫌い」意見も生かし、炎上・話題必須のテーマで広告効果は抜群
拡散を狙って作成された「ツキイチ!生理ちゃん」。この作品とのコラボは炎上リスク必須であり、筆者が考えるのは大丸初ブランド「ミチカケ」からの刺激的な「問題提起」であり、以前の紙ナプキン時代を彷彿とさせる、「女性の社会進出を妨げている女性性の課題を社会全体で考えさせる活動」にも見えるなあと思いました。
女子高時代、学内でも生理はオープンなものでナプキンを忘れてしまった人へ紙ナプキンがブーメランのように飛び交うシーンも割と日常でした。(それがいい悪いは別として・・・)
あ、遊んでるわけではないですよw
これが社会に出れば今は絶対にありえない、非常識な行動になるわけですが、この常識も変わる日が来るかもしれませんね。
何にせよ、生理ちゃんには引き続き影響力をキープしてほしいなと思う筆者でした。